「松戸市幸谷の家」リノベーション工事のポイント その5
また間があいてしまいました。
今回は構造編その2で、基礎の耐力UPに続き、構造体の耐震化のお話です。
弊社のHP【耐震・省エネリフォーム(リノベーション)】のページの事例2の解説にあるように、この住宅は出窓の多い住宅で、この住宅が建設された当時は、両面開口(窓など)のコーナー出窓が流行った時期でもあったんです。
この当時の耐震の考えは、軸組み計算の後、筋交い(すじかい)や面材を計算で求められた必要な長さを壁に配置して満足させるというもので、現在のように「バランス」まで考慮されていませんでした。
この結果、現在の耐震診断を行うと「重心(建物の重さの芯)」や「剛心(建物の強さの芯)」が大幅にズレ、地震などの外力を受けると“倒壊の危険性がある”
このバランスというのは、建物を平面的に見て左右や上下の壁のバランス(位置や長さ)をいい、位置が同一で対峙の長さも一致(1:1)していれば、バランスが良く、外力に対抗する‘ねばり’もあるわけです。
これは間取り変更を行い、窓の位置を変更出来る、今回のようなリノベーション工事では容易な耐震工事となります。
また同じ耐震工事でも窓の位置を変更しない工事になると、面材などを工夫し、強さのバランスを考えて行う必要があると考えます。ですから、ただ単に壁の倍率(強さ)を高める工事では、片手落ちになるので注意する必要があります。
計算結果、今回の事例ではプラン策定後の耐震診断で安全数値1.0以上を確保する事が出来ました。
さて、今回の工事ではダイニングやリビング、そしてキッチン、エントランスまでを一体の大きな空間として構成するプランとしましたので、追加する柱や抜かなければならない柱が出てきます。
事前の調査で大体の‘梁方向’は認知していたものの、実際の継ぎ方、方向や寸法は解体工事終了後の確認となりました。
結果は、ほぼ考えていた通りの方向に‘梁’があり、新しく建てる柱で受ける事が可能で、一安心。
2階の荷重やスパン(間隔)、耐久性などを考え、材種は“集成材”を使用しています。
また剛性を考え、1階の床は“ネダレス工法”(根太材を使用しない)を採用し、厚床合板(28mm)を直接大引き材に乗せ、ねじれなどの変形に対抗するようにします。
このネダレス工法は2×4工法の長所を取り入れた工法で、現在の木造軸組工法でも一般的になりつつあります。
今回はここまで。次回は通し柱や管柱などの強度のとり方を説明します。
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